ソウルイーターのマカ・アルバーンに見る熱血性と優しさ、そしてクロナの持つ「人と接する恐怖」

熱血戦闘少女が、母親に虐待されて悪の道に手を染めてしまった孤独な少女に「友達になろう」と手をさしのべる、というパターン。どこかで見たと思ったら、魔法少女リリカルなのはフェイト・T・ハラオウンか。フェイトちゃんもかわいいけど、クロナも萌える。

人と接する恐怖、魔剣士クロナの場合(以下、割と「ソウルイーター」のネタバレ含みます)

クロナは自問自答する。といっても、答えはしていないわけなんだけれども……。
幼い頃、母親に否定されてから自己否定を繰り返すクロナ。母親は自分を駒のように扱い、そしてそれに報いることで自己、そして母親からの肯定を得てきた。母親とすら「接する」ことができず「どう接したらいいかわからない」と壁を作っては、他者を否定する*1ことで得る強さによって自己肯定をしてきた。そして自問自答の中では、都合の悪い質問はすべて「パス」して自己否定を回避し続けてきた。

接し方がわからないから、ボクはこの線の中にいれば安心なんだ

しかし、その強さを否定する代わりに、違う価値観で自己を肯定する人間が現れた。彼女は壁を作るクロナに対して、棒読みで「ガオー!」と叫び怪物の表情で*2砂地に描いた土俵のような線、クロナの持つ他者に対しての壁を足で消し去った。そして、友達になろう!とクロナに対する無条件の肯定を差し出した。

君は接し方がわからないんじゃない、誰も君に接してこなかっただけ

恋愛に限らず、肯定とは誰もが欲しいと思うもの。肯定のない人生に耐えられる人なんて、なかなかいるものじゃない。でも、他者からは肯定されるかどうかはわからない上に、否定されるかもしれない。だから、壁を作る。壁を作り、壁の向こう側から他者を否定することで、間接的に自己肯定に繋げる。したいことは他者の否定なんかではなく、自己の肯定なんだ。他者を否定すればするほど、壁は高くなる。どんどん高くなる。そして、高い壁に守られて、他者と接する恐怖を感じなくなる。しかしそれは、恐怖から逃げているだけ、である。
ソウルイーター」では、しばしば「恐怖に克つ」というテーマが展開している箇所がある。物理的な強さで恐怖に克ってきたクロナは、マカに物理障壁をこじ開けられたことにより、精神的な強さで恐怖と戦わなければならなくなる。
「人と接する恐怖」っていうのは、割と色んなアニメ・漫画で描かれてきた。他者の気持ちというのは、触れられるけれど見えないもの。そう、バラエティ番組なんかで頻繁に出てくる、手を入れて箱の中の物体が何か当てるゲームみたいなものなのかもしれない。鉄の手袋のように、物理的に手が守られていれば箱の中の物体を蹂躙してしまえる。ビクビクして、すぐに箱の中から手を引いてしまえば、その中に何が入っていたのかはわからずじまい。しかし、勇気を出して触ってみれば、物体が何かわかるかもしれない。大丈夫、バラエティ番組ってのは割と良識的だから、毒蛇とかは入ってないって。どうせ中身はコンニャクとかなんだから。

俺も怖いよ

参考

  • ソウルイーターレイトショー21話「届け、私の魂 〜渇いた心たまらない孤独の中で…?〜」

*1:=魂を食べる

*2:一部誇張表現有